今回は、2022年12月9日に日本で公開されたホラー映画「MEN 同じ顔の男たち（原題：Men）」を紹介します。毎度お馴染みのA24、監督・脚本は「エクス・マキナ」「アナイアレイション -全滅領域-」のアレックス・ガーランドが務めています。同じ顔の男たちが登場するホラーで「Men」という直球のタイトル。監督の過去作を考えても難解な映画だろうな……という予感がしつつ鑑賞してみました。
■作品概要
作品：Men
製作：2022／イギリス
上映時間：100分
https://www.imdb.com/title/tt13841850/
■あらすじ
夫が転落死する瞬間を目の当たりにしてしまったハーパーは、心と体を休めるためにも田舎町の一軒家にやって来た。管理人ジェフリーがかなり癖が強いタイプの男性で若干胃もたれしながらも、自然に囲まれた場所でゆっくりとした時間を楽しんでいた。しかしそんな癒しの時間は長くは続かず、全裸でウロつく男に遭遇したり、口が悪すぎる最悪な少年に出会ったりと、徐々に癒しは消えて不穏な空気に。そしてハーパーは気づいてしまう。全裸男も口が悪いガキも、神父も警察官も、ジェフリーまでもが同じ顔をしていることに……。
■予告編
■ネタバレなし感想
本作、予告編のサムネが「何なの？」と問いかけるハーパーの画像なんですけど、まさに見終わった後に「何なの？」と言いたくなるような、アレックス・ガーランドらしい難解な作品でした。久しぶりに「どういうことなの！」と声を出してしまうくらいです（笑）。
物語は、夫が転落するまさにその瞬間を目にしてしまったハーパーが、心の傷を癒すために田舎町を訪れるところから始まります。この町では管理人のジェフリー以外にも教会の神父、少年、警察官、不良といった男たちが登場するのですが、全員同じ顔をしているのです。
大自然の中を全裸でウロウロする男に家までストーキングされたことをきっかけに、徐々にハーパーは精神的に追い詰められていきます。この後ネタバレで詳細を書きますが、僕自身が理解できていないので、なかなか感想を書くのが難しくなりそうです。
ただ、本作を見終わったとき「ミッドサマー」に近いものを感じました。心に傷を負った女性がトラウマを克服し、笑顔を取り戻していくまでの過程に"セラピー"要素を感じたんですよね。気になった方は、ぜひ配信にて。
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■ネタバレあり感想
↓ここからネタバレありなので注意です！！！
ハーパーの夫ジェームズが転落死した時のことは、フラッシュバックで明かされます。実はその少し前、ハーパーは離婚の意思を告げていたんですが、ジェームズはかなりヤバい男で「離婚するなら死んでやる！」とブチギレていました。挙げ句の果てにはハーパーを殴り、家を追い出されます。ジェームズがマンションの屋上から転落するのはそのすぐ後でした。
屋上からベランダに侵入しようとして足を踏み外したのか、それとも本当に自殺だったのかは明かされません。いずれにしても、ハーパーは愛する男性に苦しめられていたと同時に、罪悪感にも苦しんでいたのです。
同じ顔の男たちは、傷ついた心のハーパーにとっては「男性はみんな同じだ」という心境を投影した幻覚だったんでしょうか。最後、同じ顔の男からまた同じ男が生まれ、最終的にジェームズが生まれるという、訳の分からない非常に気持ちが悪いシーンがあります（衝撃的！）。
これがハーパーが自身のトラウマを克服していく過程を表現していたのか、僕には難解で分かりませんでした。ハーパーが家に来てすぐに庭にあるリンゴを食べるシーンや、リンゴが全て木から落ちるシーンなど、聖書に関連すると思われるシーンがあったのですが理解しきれず……。
ただ、ラストシーンでハーパーが笑顔を見せます。心の傷が癒えたのでしょうか。なんだか印象的なラストシーンでした。きっと有識者の方々が解説・考察記事を書いてくれると思いますので、それらを読んでみようと思います（人任せ）。
■関連作品
・心に傷を負った男が再生していく物語
・子供を失い寄り添って生活する夫婦に起きた奇跡とは……
