今回は、2022年9月16日に日本で公開されたエイドリアン・ブロディ主演のアクションスリラー「クリーン ある殺し屋の献身（原題：Clean）」を紹介します。一人の男が犯罪組織に立ち向かうというあらすじを読んだ時点で、見るしかありません。ホラー映画ではないので本ブログのテーマからは逸れるのですが、以前「Mr.ノーバディ」を紹介したこともあるのでその枠ということでお願いします（笑）。
■作品概要
作品：Clean
製作：2021／アメリカ
上映時間：94分
https://www.imdb.com/title/tt10023022/
■あらすじ
ゴミ収集車の運転手として働く男、クリーン。彼は暗い過去がありながらも一生懸命働き、近所の少女と交流を持ち、静かで穏やかな日々を送っていた。ある日、その少女が街の悪い男たちとつるんでいる所を目撃。心配してその場に乗り込んだクリーンは彼女を暴行しようとしていた青年を痛めつけるが、なんとその青年は犯罪組織のドンの息子、といういつものパターンだった……。
■予告編
■ネタバレなし感想
「暴力的な過去を持つ男が、危険な目に遭いそうになった少女を助けるために悪い男を痛めつけたら犯罪組織の息子だった」というあらすじを読んだ時点で、映画好きなみなさんなら「おや？」と思いますよね。「その後は主人公が無双状態で犯罪組織を壊滅させるんだよね？」はい、その通りです。でもその展開が大好きで、無双する主人公が見たいわけです。だから「ジョン・ウィック」も「Mr.ノーバディ」も最高なんです。
しかし本作、そんな映画を期待すると肩透かしを食うと思います。なぜなら本作は無双する主人公を楽しむアクション映画ではなく、自分の過去の過ちと向き合う主人公を描いた、スローで内省的な映画だからです。主人公が犯罪組織を壊滅させるアクションを見せてくれるのは最後の15分程度。これをどう感じるかが好みの分かれ目と思います。
正直、僕はあまり好みではありませんでした。こういう映画で見たいのは、次々と敵を倒していく笑っちゃうくらい強い主人公なんだよー！と大声で言いたくなってしまいました。とは言え、映画としてつまらないのではなくこちら側が勝手に期待していた展開とのズレなわけです。
エイドリアン・ブロディは渋くていい味を出していましたし、しかも彼、プロデューサーを務めるだけでなく脚本にも関わり、なんと劇中音楽も担当するという気合いの入れっぷりです。そのうち劇場公開決まるだろうな、と思っていたら日本公開が決定しました。94分という短い尺なので気になった方はぜひ。
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■ネタバレあり感想
↓ここからネタバレありなので注意です！！！
ネタバレなしの方でだいぶストーリーに触れてしまったのですが、ネタバレ要素と言えば主人公クリーンの過去でしょうか。
はっきり語られるわけではないのですが、クリーンはかつて殺し屋として働いており、その暴力に染まった日常から逃れるかのように薬物を常用していました。そしてクリーンには幼い娘がいたのですが、ある日その娘が父親を真似して薬物を使ってしまうのです。その結果、命を落としてしまいます。
それ以来クリーンは自分を責め続け、ゴミ収集車の運転をしながら静かな日々を送っていたのです。毎晩のように娘の悪夢を見て、飛び起きては涙を流すという非常に追い詰められた日常でした。そんな中、交流を深めていた少女を助けるために再び暴力という手段を使い、自分自身と向き合うことになるという展開です。
最後、組織の男たちを次々と殺したクリーンは、ボスと揉み合いになります。そのとき、ボスの息子（最初にクリーンが少女を助けるために痛めつけた青年）が現れ、なんと自分の父親を銃で撃ち殺します。この青年は長年父親の指示に従い続け、自分の思うように生きられない、自由のない抑圧された生活を送っていました。本作は能天気に見れるアクション映画ではなく、最後まで人間の内面、抑圧された感情を描いていたわけです。
ネタバレなしの方でも書きましたが、この内省的な作品をどう受け止めるか次第で評価が変わると思います。ハイテンションなリベンジアクションを求めている方は、ジョン・ウィックやMr.ノーバディを見ていた方が幸せです。
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