今回は、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2022」で日本公開されたホラー映画「呪われた息子の母 ローラ(原題:Son)」を紹介します。カルト教団から逃げ出した辛い過去を持つ主人公が、ある日を境に様子がおかしくなった息子と過ごす中で次第に追い詰められていく物語です。子供だから、とまったり見ているとショッキングな描写に驚かされることになります。
■作品概要
作品:Son
製作:2021/アイルランド、アメリカ
上映時間:98分
■あらすじ
恐ろしいカルト教団から逃げ出したローラ。妊娠している彼女は追っ手から逃れるものの、陣痛が来てしまい車の中で出産する。それから8年後、ローラは息子デヴィッドと静かな町で穏やかに暮らしていた。しかしある夜、突然カルト教団のメンバーがデヴィッドの部屋に現れ、それから少しずつデヴィッドの様子がおかしくなる。突然大量の血を吐き出すし、何も食べようとしないし、病院の医者たちもお手上げ状態。自分の息子は原因不明の病気なのだろうか、それとも……。
■予告編
■ネタバレなし感想
2021年の作品ですが、予告編を見てからずっと気になっていたので今更ながら鑑賞しました!主役は2018年の「ハロウィン」でジェイミー・リー・カーティスの孫を演じて一躍スターになったアンディ・マティチャックです。
さて、本作はカルト教団で育ち、そこから何とか逃げ出したローラとその息子デヴィッドの物語です。タイトル通り、ローラの"息子"を中心に話は進みます。
カルト教団のメンバーが現れた後、デヴィッドは突然大量の血を吐いて倒れ病院に運ばれますが、医者たちは原因が分からず何もできない状態。なぜか急に回復したデヴィッドは退院するのですが、何も食べようとしません。それからまた体調の悪化と回復を繰り返し、親しくなった刑事ポールの助けを借りながらもどうしたらいいか分からず絶望するローラですが、とうとう衝撃的な出来事が起こります。
自分の息子は一体何者なのか?それまで全く語られない"父親"の存在が明らかになったとき、恐ろしい結末に向かって物語は進んでいきます。苦しむ息子のために母親が何をやってしまうのか?何とも言えない気持ちになる哀しい逃避行でした。
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■ネタバレあり感想
↓ここからネタバレありなので注意です!!!
カルト教団は悪魔を崇拝しており、ローラは悪魔に捧げられ妊娠させられていました。そう、デヴィッドの父親は悪魔だったのです!
デヴィッドが入院するも、教団の存在を感じて病院から逃げ出したローラは、仲良くしているお隣さんのスーザンにデヴィッドを預けて荷物をまとめに家に帰ります。支度を終えてスーザンの家に着くと、なんとデヴィッドがスーザンを殺してしまっていました。しかも殺しただけでなく、美味しそうに食べていたのです!デヴィッドが何も食べなくなってしまったのは、人肉しか食べられなくなったからだったのです。
自分の息子に恐ろしさを感じながらも、ローラは解決方法を求めて教団のアジトに向かいます。途中、クズ男を見つけて息子の食糧にしたりとショッキングなシーンがありつつ、ローラはどんどん追い詰められ精神的にも弱っていきます。そしてローラは、悪魔の子供であるデヴィッドをこれ以上生かしておくことはできないと思い、殺すことを決意します。しかし、まさに手を掛けようとしたそのとき、刑事ポールがローラを撃ち殺してしまいます。
最後、生き残ったデヴィッドの元にポールが現れ、自分の腕の皮膚を切り裂いて食べさせます。そう、実はポールもカルト教団の一員で、大事な悪魔の息子であるデヴィッドを殺そうとしたために、ローラは撃たれてしまったのです。病室にその悪魔が現れ、悪魔の"息子"であるデヴィッドと抱き合って終わりました。
ずっとローラの"息子"として物語が進んでいましたが、最後に悪魔の"息子"となった展開は上手いなと思っちゃいました。タイトルが"Mother"ではなく"Son"であることの意味が最後に分かった感じです。
■関連作品
・母親が抱える暗い秘密とは
・自分の子供が悪魔の人形に魅了されてしまったら……