のんびりホラー映画な日々

日本未公開の海外ホラー映画、海外ドラマを中心に、気ままに感想を書いています。

ネタバレあり感想「女神の継承」ナ・ホンジン原案・製作によるかなりヤバめなPOVホラー!

今回は、2022年7月29日に日本で公開されたホラー映画「女神の継承(原題:The Medium)」を紹介します。「哀しき獣」や「哭声/コクソン」のナ・ホンジンが原案・プロデュースということで非常に話題になっている本作。最近は「哭悲/THE SADNESS」という衝撃作が目立っていますが、本作も全く負けていません。静かな予告編からは想像できないような壮絶な展開が待っています。

 

■作品概要

作品:The Medium
製作:2021/タイ・韓国
上映時間:131分

f:id:yusuke110044:20220710005910j:plain

https://www.imdb.com/title/tt13446168/
■あらすじ

ドキュメンタリーの撮影でタイの小さな村にやってきたクルーたち。彼らはその村で神に仕えるシャーマンの女性ニムに出会う。ニムは代々受け継がれているシャーマン一家の出身で、クルーたちは「面白いものが撮れそうだ」と興奮しニムの密着を開始。そんなある日、ニムは姪ミンの異変に気づく。原因不明の体調不良だけでなく、突然ブチギレて狂ったように暴れまくるのだ。クルーたちは「こっちも面白いものが撮れそうだな」とミンの密着を始めるが、これが壮絶で地獄のような体験の始まりだった……。


■予告編


www.youtube.com

 

■ネタバレなし感想

女神の継承、自信を持っておすすめできるこの夏最高のホラー映画です!

実は見る前はPOVであることを知らなかったんですよね。ドキュメンタリーの撮影という設定なので、基本的にそれらの映像や監視カメラなどを中心に構成されています。酔いやすいカメラワークではないので、苦手な方も見やすいと思います。

さて、本作はタイの小さな村のシャーマン一家の女性たちが主人公です。ニムは現役シャーマンのおばちゃんなのですが、まずキャスティングが素晴らしい。本当に現地の村で採用したのかな?と思わせる"こんなおばちゃん近所にいるよね"感がすごいんです。

そしてニムの姪ミンは、突然ブチギレたりと、絶対にいつもと違う行動を取り始めます。ただ、体調不良の症状から周りの人たちは「ミンは次のシャーマンに選ばれたんだ。見守るしかないね……」と思います。継承者が通る道みたいなんですね。

しかし、シャーマンであるニムは、ミンに触れたときから何かがおかしいことに気づきます。継承者に選ばれたのではなく、何か邪悪な存在が取り憑いているのではないかと疑いを持つんです。そしてその疑念は大正解で、後半はとんでもない勢いで最悪の展開に突き進みます。

131分なので比較的長尺の作品なのですが、僕は1分1秒も飽きることがなかったです。また、本作はR18の上映となるのでショッキングなシーンも多いです。正直、あの哭悲よりも残酷なシーンもあります。見に行くときは自己責任で、覚悟を持って劇場に行きましょう!

 

 

Amazonで配信中!
女神の継承(字幕版)

女神の継承(字幕版)

  • ナリルヤ・グルモンコルペチ
Amazon

 

■ネタバレあり感想

↓ここからネタバレありなので注意です!!!

 

 

 

 


ミンの母親でありニムの姉ノイは、シャーマンになるのが嫌でクリスチャンに転向した過去があり、その結果ニムが受け継ぐことになりました。そのためミンに症状が現れた時もキリストに祈りを捧げます。しかし何も変わりません。

同時に、ニムは自分のやり方でミンを救おうしていたのですが、ノイはニムが何もしてくれないと勘違いし、別の祈祷師に頼んで儀式を行ってしまうんです。それが地獄の始まりでした。

その儀式によって更なる悪の精霊がミンに取り憑き、ノイをカメラで叩きまくって殺そうとし姿を消します。1カ月後、廃墟で見つかったミンはどう見ても悪霊が取り憑いているヤバい状態で、狂ったように暴れまくります。ニムは知り合いの強力な祈祷師に連絡を取り、儀式を行うことを決意するわけです。

しかし、ここで意外な展開になります。儀式の前日、自宅で死んでいるニムが発見されるんです。正直「えっ!?」ってなりました。ニムはシャーマンであり物語の中心人物だったので、まさか儀式の前に死ぬのは予想してなかったです。これも悪霊の存在の強大さを物語っていました。

そしていよいよ儀式を迎えるわけですが、みなさんが予想する通り(?)大失敗に終わり関係者が全員死にます。最悪のバッドエンドとなるわけです。こう書くとシンプルなんですが、その大失敗の結果が壮絶です。呪われた人間たちは獣のように人を食います。ミンは飼っている犬を生きたまま沸騰した鍋に突っ込み、茹で上がった犬を食べ、甥っ子の赤ん坊までも生きたまま食べます。これ、本当に地獄のようなシーンでした。

最後、死ぬ前のニムのインタビュー映像が流れます。ニムは泣きながら「正直、今まで本当に自分がシャーマンとして神と交信できていたのかわからない。もう何もわからないの……」と言います。信仰心とは何か?根底を覆すようなニムの発言で幕を閉じます。

藁人形が出てきたりと、考察要素は山ほどあると思います。そういった考察・解説は詳しい方にお任せするとして、この恐ろしい作品を映画館で堪能していただきたいと思います。

 

■関連作品

・恐ろしい呪いが静かに忍び寄る系ホラー

yfilm.hatenablog.com

・地獄絵図という意味では非常に近いものがある

yfilm.hatenablog.com