今回は、2022年7月に日本で公開された台湾のホラー映画「哭悲/THE SADNESS」を紹介します。非常に話題になっている本作ですが、耐性のない人が間違って見てしまったら見たことを後悔し、トラウマを植え付けられるであろう危険な作品となっています。当然R18+の公開ですが、これ本当に劇場公開するの?と言いたくなる衝撃作です。
■作品概要
作品:哭悲/The Sadness
製作:2021/台湾
上映時間:100分
■あらすじ
ある爽やかな朝を迎えた、まさに爽やかなカップル、カイティンとジュンジョー。それぞれがいつも通り出掛けるが、ジュンジョーはコーヒーを買いに行った食堂で突如老婆が店員に襲い掛かる場面に遭遇。しかも周囲の人々も急に暴れ出し、ハイテンションで人を殺しまくる。一方、通勤電車に乗っていたカイティンも、男がナイフで次々と人を刺すのを目撃。何かに感染した人々は目が真っ赤になり、暴力性が異常に高まり狂ったように人に襲い続ける。果たして、カイティンとジュンジョーは再会できるのだろうか……。
■予告編
■ネタバレなし感想
最高にハイテンションでスピード感に溢れ、しかも倫理的にアウトな描写連発のバイオレンスホラーが台湾からやって来ました!すでに非常に話題になっている本作ですが、見たら分かります。とんでもない映画です。
さて、本作はカップルのカイティン、ジュンジョーの2人が恐ろしい目に遭いながらも、再会を願って必死に生き残ろうとする物語です。暴力的なシーンがめちゃくちゃ多いのですが、この主役の2人が爽やかなのでバランスが取れていました。
何よりカイティンが魅力的な人物で、電車で感染者たちから必死に逃げ出すのですが、負傷した女性(渡辺直美さん似)を見捨てず出口まで連れて行きます。勇気と優しさを持つ女性であることが表現されていて、一気に好感が持てました。
また、ここでカイティンが遭遇するのが予告編にも登場するおじさんです。騒ぎの前にも隣に座って「君、美しいね……」なんてしつこく話しかけてくる迷惑なおじさんなんですが、感染してからもそのしつこさは失われずカイティンを追いかけ回します。粘着質な変態おじさんはその後とても恐ろしいことをやらかすのですが、個性が際立つキャラクターでした。
最後に、本作が特殊なのは"喰われる!"という恐怖ではなく"何をされるか分からない!"恐怖であることです。感染者は暴力的になるだけでなく、異常に性欲が増す(欲望が増幅される?)のです。これがとにかくひどい。狂った性欲を持つ感染者が何をするのか?今まで見たことがなかったようなアウトなシーンの連続です。
すでに配信が始まっていますが、くれぐれも耐性がない方が興味本位で見るのはやめた方がよいです。逆に、ハイテンションなバイオレンスホラーがお好きな方は今すぐに見てください(笑)。
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■ネタバレあり感想
↓ここからネタバレありなので注意です!!!
今回、ネタバレで何を書こうか……と悩みました。というのも正直、文章で書けるような内容ではないからです。
感染者は放送禁止用語を連発し、とにかく"性欲剥き出し"なので見ていてゲンナリします。ここまで性に振り切ったゾンビ映画は見たことがありませんでした。感染者同士がセックスするシーンや感染者が暴行する描写、挙句の果てには電車の変態おじさんが女性の●に●●●を●●るというとんでもないことをやったり、もうとてもじゃないけど書けません……。
なので物語の結末に触れると、病院に逃げ込んだカイティンはウィルスを研究する医者に出会い、自分に抗体があるかもしれないことを知ります。そこにカイティンを探していたジュンジョーが病院にたどり着くのです。再会を喜びたかったカイティンですが、なんとジュンジョーは感染し変わり果てた姿になっていました。
この日の朝まで2人は幸せで、約束していた旅行の日にジュンジョーが仕事を入れてしまい「せっかく休みを取ったのに!」なんてカイティンが怒ったりして、そんな日常があったのに今はもう完全に失われてしまった。そんな2人を見るのが辛かったです。
そしてカイティンはヘリコプターが来た屋上に行きますが、扉が閉まった後銃声がしたので、感染者と思われ撃たれてしまったのかもしれません(はっきりと描かれない結末でした)。
汚い言葉ばかりなので日本語字幕はどんな感じになるんでしょうか。本作で鮮烈な長編映画デビューを飾ったロブ・ジャバズ。今後が楽しみな監督です。
■関連作品
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